Karma
絶望的な恐怖から解放された反動か、私は過呼吸気味になり、公園のベンチから動けなかった。
「桃の炭酸とか、好き?」
「別に、嫌いじゃないけど」
凪は「あげる」と言って、私にジュースをくれた。
「十分過ぎるくらい、メイは頑張ったと思う。音音が喰喰である確信を得たうえに、屠殺場の場所まで分かったんだから」
もしかして私、凪に気をつかわれてる?
なんだか無性に恥ずかしくなって、涙をふく。
話題を変えよう。
「凪はさ、好きな人とかいるの?」
もう真夜中だ。遠くの遊園地で、鮮やかにライトアップされた観覧車がまわる。
「な、なに? いきなり…」
凪は顔を真っ赤にし、顔を背ける。