Karma
響介は私の髪を優しくなでた。


手袋越しでも、だんだんと顔が熱くなってきた。


よく見ると、細いけど、筋肉のある腕だ。



お風呂上がりで濡れた髪から、柑橘系のいい香りまでする。



頭がボーッとしてきた。



このまま一緒にいたら、おかしくなりそうだ。


「試してみる? キスしたら、本当に死ぬのか」


いつにないイタズラな笑みで、響介は言った。


響介の顔が近づく。長いまつ毛の下には、琥珀のような美しい瞳。


響介の吐息が私の唇に触れ、ほんのりと甘い味がした。


顔は沸騰しそうだ。というか、全身が熱くて、視界がぼやけて来る。


「今まで俺が、どれほど我慢してたと思う?」
< 155 / 250 >

この作品をシェア

pagetop