Karma
「うん。辛いけど、誰かに本気で恋をしたからこそ、辛かった時間も、楽しかった時間も……全部私の、大切な記憶になるんだと思う」
凪は胸をぎゅっと握る。その表情はどこか清々しかった。
「凪ってさ、本当に心が純粋だね。いつも無表情で、何にも感じないふりしてるけど、もっとそういう、可愛いとこ出してった方がいいよ」
その言葉に凪はうつむいた。
「どうしたの?」
「同じことを、前に美花に言われたの」
凪のほほに、一筋の涙が流れる。
「教室で独りでいると、美花がよく話しかけにきてくれた。ほんと、うるさかったけど、それ以上に、うれしかった」