Karma
死者は千人を越える大災害だった。
朱実は人々を救うために、その力を最大限に発揮し、瀕死の人々の治療にあたった。
朱実は願いを叶える度に、実は自分の寿命を犠牲にしている。そのことも隠して。
「こいつ化け物だ。人間じゃない」
朱実の驚異的な能力を目の当たりにした町の人々は、感謝するどころか、朱実に恐怖した。
身近な人間が大勢亡くなり、精神的に追い詰められ、疑心暗鬼に陥っていたせいかもしれない。
その年、二度目の津波が町を襲った。
人々の生活は破壊しつくされ、絶望が町を包むと、おかしな宗教が力を得だした。