Karma

「この時間が、ずっと続けばいいのに」


私が思ったことと同じことを、響介は同じタイミングで呟いた。


「触れ合えるようになったら、まずどこに触れたい?」


私が訊くと、響介は少し考えてから答えた。


「教えない」と。


響介がお風呂から出て、私が交代で入ったあと、響介は私の髪を乾かしてくれた。


ドライヤーの風が響介と同じタンジェリンの香りを運び、とろけるような甘い味が口に広がった。


直接触れ合うことができなくても、キスができなくても、響介と過ごす一秒一秒の時間は、私にとって宝物となっていく。


胸が温かくなる。


この気持ちがきっと、私が忘れてしまった、家族の温もりなんだなって、思う。


リビングで響介と肩を寄せ合い、くつろいでいると、祐希からメールがきた。
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