Karma
「あいつ……」
路地裏を進んでいると、目の前の道から、一人の男が現れた。
私は一瞬でUターンし、その場から逃げ出した。
遠目から目を見ただけで分かった。
あいつはプロの殺し屋だ。
どうやらこのシマで、大胆に稼ぎすぎたらしい。
シマを仕切っている組の人間が、私を殺すために遣わしたんだ。
突然、ガラスが割れるような音が響く。かと思うと、体勢が崩れ、地面に吸い込まれていく。
……血?
視界が霞む。頭から、血が流れている。
目の前には、さっきの男とは別の男が、割れたガラス瓶を握り、私を見下ろしている。
「立て。クソガキ」