Karma
しかし、響介は窓を閉め、内側から鍵をかけた。
「なんで? 響介」
「俺は残る。少しでもメイが逃げる時間を稼ぐ」
「嫌だ、殺されるよ」
「大丈夫。あとで必ず追いかけるから」
窓越しに、私と響介は見つめ合う。
ためらっている間にも、ドアを壊す音が響く。
「好きだよ響介。あなたは私に、ずっと忘れていた幸せをくれた」
「俺もだよ。メイを愛してる。誰よりも。俺は、メイが大好きだ」
窓越しに、唇を近づけ、私達は初めてキスをした。
直接触れられなくても、響介の温もりが、唇に、確かに触れた気がした。