Karma
私は気づかれないように屋上をのぞき見る。
遠目だけど、そこには響介が、手足を縛られ、仮面をつけた男達に、落とされようとしていた。
『我々は何の躊躇いもなく落とせる。なぜなら響介を殺そうが、喰喰様が記憶を改竄し、我々の罪を消してくださるのだからな』
放送がきれる。
私と祐希は顔を見合わせる。
「助けなきゃ、メイ、行こう」
祐希が言う。
響介が危ない。
でも、このチャンスを逃したら……
二つの選択肢が、天秤の上で揺れる。