Karma
ゾッとするような寒気が、背筋を這う。


味のしないキスだ。強いていえば、“不幸の味がする”とでもいうのだろう。


そんな汚い手で、染めたばかりの髪をなでないでほしい。


男のキスに対して、私が人形のように固まっていたせいだろうか。


男は「どうした?」とつまらなそうな顔で唇を離した。


「言うこと聞いたら、家に帰してくれる?」

「それは君次第かな」


男は人気のない暗がりへ私を誘導する。痛いくらい手首を握られて。
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