Karma

罠かもしれない。そう思ったけど、祐希が女の子の側に駆け寄る。


「大丈夫? もしかして、閉じ込められてたの?」


祐希がきく。


女の子は首を横にふって、顔を隠す。


「どうしよう? とにかく安全な場所に」


祐希がそう言ったのと同時に


「祐希、危ないっ!」
「えっ?」


その女の子は、祐希の腹を、ナイフで突き刺した。


倒れる祐希。女の子は、長い茶髪の髪をたくしあげ、顔を見せる。


「私の……顔?」


その姿は……ちょうど家族が殺された年齢の私だった。


「ここまで来たこと。誉めてあげてもいいわ」


姿こそ九歳の頃の私だけど、その声は喰喰のものだ。
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