Karma
メイが小学三年生。九歳だった頃。
「はぁ……今日もお薬、飲まなきゃいけないのか」
すでに一年以上も病院に縛られていた神崎メイは、辛い治療のせいで、心が弱りきっていた。
いつか病気は治る。また元気に遊べる日がくる。
医者や家族はそう言ってメイを励ましたが、メイはその言葉にすら、疑いを持ち始めていた。
「退院しても、私はまた三年生からやり直し。友達はみんな四年生になれるのに、なんで私だけ」
そんなある日、メイに、医者から退院の許可がおりた。
メイは病気が治るまで、家には帰れないと思っていたから、ついに病気が治ったのだと喜んだ。
しかし、担当医の部屋にお礼の似顔絵を持って訪れたとき、メイは偶然、退院の真実を知ってしまう。
「メイさんは死ぬよ。現代の医学では手のほどこしようがない。あと1ヶ月ももたないだろう」