Karma
メイの全身が凍りついた気がした。


「ご家族も了承済みだ。これ以上、病院で治療するより、ご自宅でご家族と暮らす方がメイさんのためだ。本人は何も知らなくても、ある日、静かに眠りに落ちるように逝ければ、それが一番幸せだろう」


メイは似顔絵を握りつぶし、その場から走り去る。


「嘘つき。みんな私に治るって言ったじゃん。みんなで私を騙して、楽しんでたんだ」


その日、ベッドでメイが泣いていると、担当医と話していた看護師がやってきた。


看護師はメイから事情をきく。


「だったらひとつだけ、メイちゃんが助かる方法があるよ」

「え? なに?」

「喰喰様に病気を治してってお願いするの。そうすれば、メイちゃんの命は助かるよ」


看護師は不気味な笑みを浮かべる。彼女は凪瀬高校のOBだった。
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