Karma
メイはずっと行方不明になっていた。けれど、ある日、メイが住んでいた治安の悪いあの街で再会した。幼馴染みの女の子にそっくりだったから、最初は幽霊かと思ったよ。
「ここは、あんたが来ていい世界じゃないよ」
今思えば、一目惚れに近かったと思う。いや、多分、行方不明になる前から、俺はメイのことが……
俺はメイの忠告を無視して、メイのいる裏社会に足を踏み入れるようになった。
最初は煙たがられたし、メイには幼馴染みの頃の記憶はなかったけど、徐々に俺とメイは仲良くなり、親友となった。
そして、今の世界線と同じく、俺とメイは凪瀬高校に入学した。
メイは喰喰の復讐に命をかけていた。
俺もできる限り、メイに協力した。
けれどメイからすれば、俺はあまりにも弱い存在だったと思う。
というよりも俺は、こんな二十歳で死ぬ運命の自分が、メイを好きになる権利なんて、ないと思っていた。
自分がメイを愛すれば愛するほど、その溝は、越えがたい隔たりとなって、俺を苦しめた。
いっそ、好きにならなければ、弱い自分を肯定出来たのに。弱い自分のままでもいいやって、自分を慰められたのに。
悩むことが苦しくて、二十歳になるのが怖くて、君を好きになったことが不幸だったなんて、酷いことを思った時もあったよ。