Karma

時計の長針は9時を指していたけど、魔方陣全体が黒い光を発し、長針がゆっくりと12時へ向かう。


「この時計の長針が短針と同じ12時を指したとき、世界の人間は全て、私の洗脳下となる」


喰喰は制服姿から、くるりとまわると、黒いドレスへと変貌した。


「人間は愚かだから……必ず間違いを犯す。あなたもそうでしょ? だからより優れた存在による完璧な統制が必要なの。そうすれば人間は……二度と間違いを犯さない」


私は喰喰に一歩ずつ近づき、魔方陣の中に入る。


「それがあんたの人間への復讐なの?」


喰喰はニヤリと笑う。


「人間は自分の可愛さゆえに、愛する者でさえも裏切る。メイ、あなたもそうして生き残った」


「俊太郎さんは、あんたを裏切ってなんかいない」


私が言うと、喰喰は初めて、動揺したように顔を歪めた。
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