Karma
「あんたが殺された日も、俊太郎さんは抵抗して大ケガを負ったの」
私の脳裏に、空き教室にあった絵が浮かぶ。
「そして罪の意識から、町の人々と自分達が犯した業(つみ)の記録を未来に残すために、Karmaの絵と、最初の記録を残した」
「嘘よ、私はあの日の記憶を知る者は例外なく記憶を改竄してる。 最初の記録を書けるのは、記憶の改竄を受けない私の血縁者のはず」
「そう。凪のような血縁者なら、あんたの能力を無効化できる。けれどもし、俊太郎さんがあんたを深く愛していたら?」
ちょうど、私が美花の記憶を失わなかったように。
「どんなにあんたの力が強くても、愛があれば記憶の改竄を受けない。俊太郎さんは、それほどまでにあんたを愛していたんだよ」