Karma
学校は炎に包まれ、夜は真っ赤な色に包まれていく。
「朱実、一緒に死のう」
実は、こうなることはなんとなく分かっていた。
朱実なら器を破壊されても、近くにいる生きている人間に憑依し、無理やり器を奪うって。
だけどそれなら、その状態で自ら命を絶てば、朱実を完全に消すことができる。
『や、止めろぉおおお!!』
朱実は必死で抵抗し、私から体の主導権を奪おうとする。
けど無駄だ。
「うわぁぁぁあああ!!」
朱実を体に入れたまま、私は勢いよく、胸にナイフを突き刺した。
……これで、全てが終わる。
意識が遠ざかっていく。
不思議な感覚。
痛みより、安堵の気持ちの方が大きい。
「響介、お母さん、お父さん、和哉……今からそっちに行くからね。これでみんなも私を、許して……」
……くれるよ……ね。