Karma

病室に響介が飛び込んでくる。


「……の、幽霊!?」

「いや、生きてるからっ!」


私が落ち着いたあと、響介は「とにかく、これで一安心だ」とベッドの横に座る。


「てっきり、死んじゃったのかと思った。あのとき、熊本先生に屋上から落とされて……」


「うん、たしかに落とされた。けど、奇跡的に下の木がクッションになって、助かったんだ」


響介はニコッと笑う。


「季節外れに咲いていた、桜の木がね」


その言葉に、私は夢の中で家族と再会した、思い出の桜の風景が過った。


みんなが響介を助けてくれた、そんな気がした。


「喰喰は……朱実はどうなったの?」
私がきく。
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