Karma


一示さんは家族のように私を心配してくれている。それが本当に嬉しい。

けど、

「あの日の記憶が戻るまで、ずっと私は、何のために生きているのか分からなかった。けど、今ならはっきりと分かるんです。私は……喰喰に復讐するために生き残ったんだって。だから、ごめんなさい。私は、凪瀬に行きます」


一示さんは悲しげな目をしたあと「そっか…」と呟き、今度は私の鎖骨に指を添えると、ボタンを外したブラウスの胸元に、そっと唇を重ねた。


「これは族に伝わる儀式で……祈りの意味がある。俺は、いつだってメイのことを想ってるから。必ず、生きて帰ってこいよ」


私は微笑み「うん」とうなずく。


「凪瀬に入学したら、二人ほど……気にかけてほしい奴がいるんだ」


帰り際に、一示さんが言った。
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