Karma
「……そうは言っても、悪いのはメイじゃないか?」
私はリビングのソファーに体育座りしつつ、響介をにらむ。
響介はリビングから見えるキッチンで、夕飯のパスタを手際よく作っていた。
「だって、私は詩依って女の子と住むとばっかり思ってたし…」
「だから、俺は何度も説明しようとしたよ。シェアハウスの運営会社のミスで、急遽、俺とメイが一緒に住むことになったって。それを今日、メイが1日中、俺を無視したから、伝えられなかったんじゃないか」
「私が無視したのはあんたのせいでしょ! あんたと話すと不快な気持ちにしかならないの! なんか上から目線だし!」
「まぁ、そうイライラしないで」
響介はパスタを完成させ、机の上に並べた。
お腹が悲鳴をあげそうなくらい、おいしそうな匂いがする。
見た目も、専門店で出てくるようだ。料理がまるでできない私にとっては、自宅でこんなに立派なパスタができるってだけで驚く。
「ほら、ご飯食べれば落ち着くよ。今日は和風パスタと、アボカドクリームパスタの二種類を作ってみたんだ。たくさんあるから、遠慮せずに食べて」
悔しいけど、すごく食べたい。
味も私の好みど直球。
だけど……
「いらないっ!」
「えっ?」
「食べたくないし!!」