Karma

その一言で、萌華は凍えたように表情が固まった。瞳から、一筋の涙が伝う。


「違う、萌華、俺は……」


言い切る前に、空君は突然、息ができないように咳き込み出した。


そして空君の口が、まるで空君の意思から独立したように、勝手に動き出す。


「俺は……凛夏と、モ、モっとキスがシたい。モカヨリ、リンカヲ、オレハ…」


「俺は?」


「アイ・シ・テル・カラ…」


言い切ると、空君は気絶してしまった。


萌華は顔を伏せて教室を飛び出すと、それから戻ってくることはなかった。
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