Karma

一時間後。血だまりの中、倒れる私のもとに、誰かが駆け寄ってくる。


「メイっ!」
「きょ、響介…」


響介はタオルで私の腕を止血する。


「おかしい。何回やっても、あいつ来ない…」


一時間で、私は儀式を8回実行した。


けれど喰喰が現れることはなかった。


……なぜ?


美花より私の方が早く実行したはずなのに。


「メイ、ブラウスの袖切るよ。止血しないと死ぬ…」


意識が遠ざかる。響介の姿も霞んでいく。


そのとき、響介の姿が誰かと重なった気がした。


誰だかは分からない。多分これも、私がなくしてしまった記憶の一部……


『メイ。ボクはね…』


ん? 誰の声だろう?


『ボクの不幸はね……あなたを…』


ダメだ。もう意識が、保て…………
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