Karma


「結局、儀式は失敗したよ…」


私が言うと、美花は「そっか」とため息をついた。


「美花は成功したの? 契約をしたときの記憶はなくなるけど、印は残るんでしょ?」


「いや、私も腕怪我しただけ。うちら、お揃いでミイラみたいだな」


美花は腕に巻いた包帯を見せて笑う。


「そもそも、喰喰なんているわけないじゃん。二人ともどうかしてるよ」


祐希が言う。祐希はまだ、喰喰の存在自体を否定している。


「それより、明日って土曜じゃない? 学校の近くに新しいカフェがオープンするの! 三人で行こ!」


祐希はうれしそうにスマホを見せる。


「ほら! このケーキ!」


美花もスマホをのぞきこみ、微笑む。けどその顔はどこか浮かない。
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