Karma
私と祐希はいつの間にか帰ってしまっていた美花を追った。
「美花!」
薄明かりの電灯が照らす橋の上で、美花はぼんやりと遠くの病院を眺めていた。
橋の下に電車が通る度に、橋は小刻みに揺れる。
「風花のやつ、昨日の夜、目を覚ましたんだ」
「えっ!?」
祐希はうれしそうに声を上げる。対して私は、複雑な心境だった。
「だけど、会いにいけなかった。目が覚めるまでは、毎日通ってたのにな」
そう言って美花は、寂しそうに目を細める。心なしか、涙で潤んでいる。
「行ってやんなよ」と私。
「無理だ」
「なんで?」