Karma
「止めて…」
動けない私は、喰喰に向けて叫ぶ。
「お願い、止めて! 美花が何をしたっていうの? あんたに美花を殺す権利があるの?」
私の叫びに、喰喰はピタリと動きを止める。
美花は血まみれになりながら、かろうじて意識をつなぎとめている様子で、鉄格子にもたれかかる。
「クフッ、フハハッ…」
みるみる喰喰の人形のような表情のない顔が、歪んでいく。
「ハハハハハ」
喰喰の笑い声が、橋の上に響く。
その声には、風花のために命を犠牲にしようとした美花を、そして、そんな美花を大切に想う私と祐希を……腹の底からバカにするような、皮肉と悪意がこめられていた。