【完】桐島藍子の記憶探訪 Act1.春
食事も終わろうとしていた折。
桐島さんが「そう言えば」と小さく零し、手を止めた。
「鍵でも閉め忘れましたか?」
「いえ、もっと重要なことを」
「重要な?」
「はい」
首を傾げて同じく手を止めた僕に、桐島さんは手にしたままのサンドイッチを置いて言った。
「明日、記憶堂としての正式なお仕事が一件入っているのです。後学の為と銘打ちまして、神前さんには同席していただこうかと」
「……え?」
今日一の眩しい笑顔は、思いもよらぬ形とタイミングで、嵐のように依頼を舞い込んで来た。
桐島さんが「そう言えば」と小さく零し、手を止めた。
「鍵でも閉め忘れましたか?」
「いえ、もっと重要なことを」
「重要な?」
「はい」
首を傾げて同じく手を止めた僕に、桐島さんは手にしたままのサンドイッチを置いて言った。
「明日、記憶堂としての正式なお仕事が一件入っているのです。後学の為と銘打ちまして、神前さんには同席していただこうかと」
「……え?」
今日一の眩しい笑顔は、思いもよらぬ形とタイミングで、嵐のように依頼を舞い込んで来た。