【完】桐島藍子の記憶探訪 Act1.春
何とか復帰したナビ役を終えやってきた、大分県は上益城郡、井無田高原キャンプ場。
疲労を感じさせない手際で荷物を降ろす誠二さんを手伝って、とりあえず今最低限
必要なものを外に出していく。
万一夜になってしまったら張るのが大変だからと、先にテントだけ組み立ててしまおうということだ。
ずっと起きていたらしい紗織さんに、すぐのところにあった自販機で買ったレモンティーを渡し、テントの設営に取り掛かる。
すぐにそれも組み立て終えると、そこで誠二さんには好みだと言う缶コーヒーを。
「すまないね、貰ってばかりで」
「それはこちらの台詞ですよ。何か買えばいいと思ってるわけではありませんが、これくらいのことはさせてください」
「はは。分かっているとも。ありがとう」
そう言って受け取って、美味しそうに飲むのはブラックコーヒー。
砂糖を一本は絶対に入れる僕からすれば、それすらも大人な感じがしてならない。
一息ついて車に戻ると、何やら楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
両手を下の方で組んで上品に話す紗織さんと、その横で突っ立っている葵、遥さん。そして、二人して抱き着く姉妹。と、更に一人分影が多かった。
がっちりホールドされて動けないその人影は、やがて開放されると振り返り、温かな笑顔を向けてきた。
「お久しぶりです誠二さん。お変わりありませんか?」
「ええ、こちらは何も。そちらも元気そうで」
「おかげさまで。神前さんも、少しばかりお久しぶりですか」
「メッセージのやり取りはしましたけどね」
「むぅ、会うのがですよー」
「分かってますから膨れないで」
子どもっぽい抵抗を見せる桐島さんを交えてもうひと笑い。
予定していたメンバーが全員揃って、さっそく目指すは通潤橋。
ようやく、高宮葵という人間から受けた依頼の出発点に立った。
疲労を感じさせない手際で荷物を降ろす誠二さんを手伝って、とりあえず今最低限
必要なものを外に出していく。
万一夜になってしまったら張るのが大変だからと、先にテントだけ組み立ててしまおうということだ。
ずっと起きていたらしい紗織さんに、すぐのところにあった自販機で買ったレモンティーを渡し、テントの設営に取り掛かる。
すぐにそれも組み立て終えると、そこで誠二さんには好みだと言う缶コーヒーを。
「すまないね、貰ってばかりで」
「それはこちらの台詞ですよ。何か買えばいいと思ってるわけではありませんが、これくらいのことはさせてください」
「はは。分かっているとも。ありがとう」
そう言って受け取って、美味しそうに飲むのはブラックコーヒー。
砂糖を一本は絶対に入れる僕からすれば、それすらも大人な感じがしてならない。
一息ついて車に戻ると、何やら楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
両手を下の方で組んで上品に話す紗織さんと、その横で突っ立っている葵、遥さん。そして、二人して抱き着く姉妹。と、更に一人分影が多かった。
がっちりホールドされて動けないその人影は、やがて開放されると振り返り、温かな笑顔を向けてきた。
「お久しぶりです誠二さん。お変わりありませんか?」
「ええ、こちらは何も。そちらも元気そうで」
「おかげさまで。神前さんも、少しばかりお久しぶりですか」
「メッセージのやり取りはしましたけどね」
「むぅ、会うのがですよー」
「分かってますから膨れないで」
子どもっぽい抵抗を見せる桐島さんを交えてもうひと笑い。
予定していたメンバーが全員揃って、さっそく目指すは通潤橋。
ようやく、高宮葵という人間から受けた依頼の出発点に立った。