アテナ・イェーガー〜安堵、のちにキス〜

知られたくない

「アテナと街に行ったの、楽しかったな……」

遊びに行った昨日のことを思い出し、魔法使いのロネ・ガランテは頬を赤く染める。その脳裏には、森で暮らす不思議な美少女であるアテナ・イェーガーの姿があった。

「アテナ……」

昨日会ったばかりだというのに、ロネはもう彼女に会いたくなっている。胸が高鳴って止まない。唇には、アテナとしたキスの感触がしっかり残っている。

「何ボウッとしてるの〜？」

「うわぁぁぁぁ！！」

背後から急に抱き付かれ、ロネは大声を上げる。振り向けばセイレーンのハーフであるナタリー・スカイラーがニヤニヤしていた。

「真面目で優等生のロネくんが学校行く前からそんな顔してるってことは、昨日の彼女のこと考えてたんでしょ〜？」

ナタリーの言葉は半分正解で半分不正解だ。ロネは何も言えず、真っ赤な顔でうつむく。そんなロネをナタリーは指でつついた。

「ねえねえ、昨日の美人なあの女の子って誰なの？名前とか年齢とか聞くの忘れちゃった」