アテナ・イェーガー〜安堵、のちにキス〜

「お前だって元の生活に戻ればきっとわかる！！こんなところに来ちゃいけない！！一緒に来るんだ！！」

ロネはネイサンから逃げていたのだが、体力がつき、ついにネイサンに腕を捕らえられてしまう。

「離して！！」

ロネはネイサンから逃げようとするが、体力の尽きた体では抵抗は無意味だ。ネイサンに簡単に腕を固定される。

「とりあえず落ち着け。俺はお前に目を覚ましてほしいだけだ。ここにもう二度と来ないって約束するならこの手を離してもいい。どうする？」

アテナに会わないことを誓うのは、ロネにとって絶望しかなかった。しかし、今のロネにはネイサンから逃げられる体力など残っていない。どうすることもできず、ロネは黙り込む。

二人の間に沈黙が訪れた。それは、永遠のように続くだろうとロネは思っていたが違った。数秒でそれはかき消されたのだ。

何かが地面を猛スピードで走る音がする。その風を切る音にロネとネイサンは同時に音のする方を見た。黒髪を揺らしながらアテナが猛スピードで突っ込んでくる。