アテナ・イェーガー〜安堵、のちにキス〜

ロネがそう言うと、ふわりと温もりに包まれる。アテナに抱き締められているのだ。ロネはその背中に腕を回す。アテナも震える手をそっとロネの背中に回してくれた。

「……ありがとう」

アテナの今にも泣き出してしまいそうな声に、ロネは瞳を潤ませた。



それから数日、ロネは未だにネイサンと話をしていない。学校に行き、授業を受け、別の友達と話したり遊んだりしている。

「ナタリー、また明日！」

「うん、また明日！」

ナタリーに手を振り、ロネは足早に森へと向かう。今日のおやつはおいしいと話題のプリンだ。

「アテナ、喜んでくれるかな……」

プリンを渡すのは初めてだ。アテナが目を輝かせることを想像しながらロネは森へと入ろうとする。すると、「ロネ！！」と呼び止められた。

「……ネイサン」

ネイサンが大きな剣を手にロネを睨み付ける。ロネは口を開いた。

「俺もアテナも悪いことはしていない。関わるなという法律もない。俺たちの自由にさせてよ」