諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「お前……少し痩せたか」

 理人さんが、開口一番に言う。私の鼓動はひと際大きくなった。

「あれっ? 効果でてますか? 理人さんに会っていない間、私、ダイエットしてたんです」

 努めて明るく振る舞う私を、理人さんはただじっと眺めるだけでなにも言わない。

 いつものように悪態もつかないんだ。こんなふうに呼び出したんだもん。きっともう、話があるのもバレてるよね。

 取り繕うのを諦めた私は、物悲しげに微笑んだ。

「理人さん。私、理人さんが大好きです。世界で一番。いや、地球上の誰よりも、あなたを愛している自信があります。でも……」

 私は口をつぐみ、間をとる。静寂と寒さが身を包み、空気が止まっているようだった。
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