諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「もう理人さんと一緒にいる方法はないんです。だから私は、その人と結婚して、会社を立て直すことに決めました」

「それでいいのか?」

 いいわけない。でも、

「決心しました。私は理人さんを……諦めます」

 少しでも後悔しないように、できる限りの笑顔を浮かべてきっぱりと告げた。

「お前の本気はそんなもんかよ」

 驚きも恐れもしない理人さんが、吐き捨てるように言う。

「じゃあ、政略結婚じゃなくても私と結婚してくれますか? 会社が絡んでいない私と結婚するメリットなんて、理人さんにはないですよね」

 誰よりもぶつけところない歯がゆさを感じていた私は、今にも溢れ出したそうになる涙をぐっと堪えながら返した。
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