諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~

 ――理人さんと想いが通じ合った、数日後。

 理人さんに連れられ、私は理人さんのお父様――吾妻社長の家、すなわち理人さんの実家を訪れていた。

 アポイントを取っていたのだろう。私たちは、ストレートに理人さんのお父様がいた座敷に通された。

「ご無沙汰しております」

「やぁ、静菜さん。久しぶりだね」

 深々と頭を下げた私に、理人さんのお父様が顔を綻ばせる。

 理人さんのお父様に会うことはあっても、この部屋に来るのは、十五年前の初めて理人さんに会ったあの日以来だった。

 ここに三人でいると、あの日に戻ったような不思議な気持ちになる。

 すると、部屋の中へ進んだ理人さんは、綺麗な姿勢でお父様の正面に正座をした。
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