諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「必ず、援助していただいた分以上の利益を会社に還元するとお約束します。だから、お願いします」

 畳に手をつき深々と頭を下げる理人さんに駆け寄り、私も身体を折り曲げて畳に頭をつける。

「静菜さん……」

 面食らった様子の理人さんのお父様が慌てて腰を上げて私のもとへやって来るけれど、私は首を上げなかった。

 理人さんのお父様が、困ったように息をつくのが聞こえてくる。

「理人。お前が思うほど簡単ではない」

「彼女がいれば可能です」

 起き上がった理人さんが、お父様に間髪を入れずに言う。

「損失を出せば、お前であってもただではすまないぞ」

「覚悟の上です」

 理人さんは、揺るぎない意思を含んで言い放った。
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