諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
 再び緊迫した間が生まれて、私は息を呑む。
沈黙を破ったのは、理人さんのお父様だった。

「……わかった。やってみろ。その代わり、失敗は許さない。やるならなにがあっても成功させなさい。そうでなくては、将来グループのトップなど背負えないと思え」

 その言葉に、私は勢いよく顔を上げた。

「もちろんです」

 そう告げる理人さんの横顔は、しっかりと見開いた瞳に烈々たる気迫が漲っていた。

「静菜さん」

 突然声を掛けられ、私は「はい」と少し上擦った返事をする。

「……お父様によろしく。そして、息子をこんなにも逞しくしてくれてありがとう」

 理人さんのお父様は、目を細めて柔らかい眼差しを私に注いだ。感に堪えない私は、

「こちらこそ、本当にありがとうございます……」

 ともう一度深く頭を下げた。
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