諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
理人さんの実家を出てマンションに戻ってきた私は、キッチンで淹れたコーヒーを持ってリビングに戻る。
コーヒーをテーブルに並べた私は、寄り添うように理人さんの隣に腰を下ろした。
「理人さん、今日は本当にありがとうございました。でも、大丈夫ですか? もしも、うちの経営がさらに悪化して理人さんに迷惑をかけるような事態になったら……」
うつむき加減に告げる私の額を、理人さんが小突く。
「馬鹿言うな。誰だと思ってる。絶対にコクリョウを立て直して、ついでにうちにも援助した以上の利益を還元させてやるよ」
そう言ってコーヒーを飲んだ理人さんは、カップを持ったまま、「信じられないか?」と鼻先を上げてこちらを見つめた。
その様が少しおかしくて、私は小さく笑みをこぼす。