諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「そんなこと言ったか? お前の聞き間違いだろ」

「言いました! 私が理人さんの一世一代の告白を聞き逃すと思いますか?」

「一世一代の告白、か」

 理人さんは、なにやら考えるように視線を上へ向けた。私が小首を傾げながらその様子を眺めていると、突然奪うように唇が重ねられる。

 それは一瞬、触れるだけですぐに離れた。しかし、完全な不意打ちに、私は目をぱちぱちさせて顔を赤らめる。

「勝手に決めるな。そのうちふたりのときにくれてやるから、大人しく待ってろ」

 そう告げた理人さんは、意地悪に片方だけの口角を上げて笑った。

 そんなの、すでに私が好きだって言っているようなものじゃない。

 とても嬉しいのに、気恥ずかしくて、私は不服そうに口を尖らせた。
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