諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
 悔しい、と奥歯を噛む私は、一矢報いてやろうと口を開いた。

「自分だって気づいていないだけで、本当はもっと前から私が好きだったんじゃないですか?」

「かもな」

 素直に認める理人さんに、私が放った矢はすべて見事に自分のところへと返ってきた。

「どうする。このまま前の続きしてもいいけど」

 理人さんは、背後から私を抱き抱える。

「い、今は……!」

 狼狽する私の肩に顎を乗せた彼は、私を強く抱き締めた。

「お前がうるさかった気持ち、やっとわかった気がする」

「へっ?」

「一度しか言わないからよく聞いておけよ。静菜。俺はお前が好きだ」

 耳もとでささやかれた言葉は、私の心を温かく潤していく。愛おしさが胸もとに突き上げて、息苦しくなった。
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