諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「い、いきなりすぎて、心の準備が」

「されながらしろ」

「そんな無茶な」

 俺は、顔を覆った彼女の手を無理やり開く。小さな唇にそっと自分の唇を重ねた。

「んっ……」

 思わず漏れ出した彼女の吐息に、全身がわき立つような快感を覚える。

 もっと奥まで触れたい。すべて暴いて、俺しか知らない彼女を一晩中可愛がりたい。

 そんな衝動に駆られて、俺は静菜を抱き上げる。そのまま彼女を寝室に連れていき、ベッドに下ろした俺は、横たわる彼女の上に身体を沈めた。

「あ、理人さん。ちょっと待って」

 首筋に口づけていた俺に、静菜が思い出したように声を掛ける。おもむろに顔を上げた俺は、興奮してわずかにくらくらする瞳で彼女を見下ろした。
< 195 / 199 >

この作品をシェア

pagetop