諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「理人さんの声が聞きたいっていうのも、立派な用なんです」

『……暇なやつ』

 でも、今日は切らないでいてくれるんだ。それだけでこんなにも嬉しくて、もっと理人さんを好きになる。

「好きです」

『お前はいつもそれしか言うことがないのか』

 話したいことは山ほどある。しかし、気がつけばつい想いが溢れ出してしまうほど胸がいっぱいなのだ。

「理人さん。会いたいです。いつでもいいです。数分でも。どこかに出かけたいわけじゃなくてお顔が見たいだけなので、私が会いに行きます。だから少しだけでも……会えませんか?」

 歳を重ねるごとに会えない時間がつらくなった。せめて、ひと目だけでもいいから。
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