諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「私が決めていいんですか?」

 未だ動揺する私に、理人さんは冷静にハンドルを捌きながら「あぁ」と答える。

 思わず口角が上がった。

「実は……昔から理人さんと行ってみたい場所があったんです」

「どこだ」

 理人さんは、絶対に嫌がるかもしれないけれど。そう思いつつも、私は面映(おもは)ゆさにはにかみつつ呟いた。

「遊園地へ行きたい」

「はぁっ!?」

 愕然とした面持ちになった理人さんが、珍しく頓狂な声を上げた。

「お前……この歳で俺に遊園地に行けって言うのか」

「だって、ずっと一緒に行ってみたくて。それに遊園地は大人も行くところですよ」

 私が言うと、理人さんの顔はみるみる内に苦悶の表情へと変わる。
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