諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「どうしても今、伝えたいことがあるんです」

 私はインターホンのカメラに向けて懇願する。返事はなく、それでも私はじっと視線を逸らさなかった。

 顔が見られないので、理人さんが悩んでいるのか、無視されているのかわからない。

「お願いします……」

 再び訴えかける。すると、

「……開けるから入って来い」

 と素っ気なく呟いた理人さんが、オートロックの扉を解除した。

 私はほっと胸を撫で下ろす。

 とりあえずこれで話はできる。よかった。

 ゲートをくぐり、私はエントランスホールのまで続く石畳の通路を早足で歩いた。
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