諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「私の一部であるあなたへの想いを……お願いだから否定しないでください」

 私に言ってくれたじゃないですか。

 理人さんの背中に額を寄せて、彼のシャツを握り締める。すると、しがみつく私の腕を、彼がゆっくりと解いた。

「あっ」と悲痛な声を上げる私の手首を、こちらに向き直った理人さんが掴む。彼の艶のある瞳に捉えられ、鼓動は大きく跳ねた。

「じゃあお前の本気、信じてやるから全力で俺を落としてみろよ」

 ――えっ?

 私は言葉を失った。

 彼は、瞠目する私の手のひらに唇を寄せる。ちゅっ、と音を立てて唇が触れた。

 挑戦的に鼻先を上げた理人さんが言う。私は涙ぐみそうになり、鼻をすすりながら彼の胸もとへと飛び込んだ。
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