諦めて結婚いたしましょう~一途な御曹司の抑えられない独占欲~
「理人さん……!」

「やめろ、猿」

 彼は絡みつく私を引き剥がそうとするが、私もしがみついて離れない。

「猿でもいいです。私、絶対に理人さんに好きになってもらいますから」

「ならねぇよ。馬鹿」

 引き剥がすのを諦めたのか、ため息混じりに呟いた理人さんは私の頭を雑に撫でた。

 温かい。またこの温もりに触れられるんだ。 

 どれくらいかはわからない。でも、少しでも私の気持ちが伝わったのかと思うと、それだけで涙が出そうなくらい嬉しかった。
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