上司を甘やかす方法



次の日、出勤すると
もう主任がパソコンに向かっていた。

「おはようございます。」

「おはよう。
昨日倉持さん、ありがとうね。」

「いえ、大河内さんは…」

言いかけたところで止めてしまったので

「ん?」と手を止めて体を俺に向けた。

「いや、何もないです。」

「そ?」
と、笑う大河内さん。


「大河内ー。」

呼んだのは、佐々木部長。
こんな朝から珍しい。

「はーい。

ちょっとごめんね、すぐ戻るから。」

と言って席を立った。



パソコンを点けると
「斎藤くん、コーヒー飲む?」
と急に大河内さん。

「あー、はい。あ、俺淹れますよ。」

と、立ち上がってサーバーの前に立つ、
大河内さんの隣に立った。

「いい、いい!働いて!ごめんね邪魔して!
ブラックでいいよね?」

「あ、はい。
俺ブラックって言ったことありましたっけ?」

「え?いつもブラックじゃない?」

「あ、そうですけど。」

キョトンとした大河内さんに驚く。

「ちなみに部長は
こっそりミルクいれてるんだよ!」
と、笑った。


「はい、お待たせ。

あ、サンドイッチ食べる?」

と、一つ一つが小さめのサンドイッチを
差し出してくれた。

「じゃあ頂きます。」

「好きなだけどうぞ、
あ、もしかして斎藤くんって
朝ごはん食べない人?」

「あー、たまに食べますけど
今日はコーヒーだけでした。」

よかったー、と笑う大河内さん。



「はい、部長。どうぞ。」

と、コーヒーとサンドイッチを渡していた。

「おー、今日はサンドイッチかー!」

「斎藤くんもこっちで食べない?」

「いえ、お邪魔なので。」

「いやいや、来てくれた方が助かる。
こいつ本当に時々
お節介とお説教が過ぎるんだ。」

部長と大河内さんは一体どんな関係なんだろう。
そうは思いながら、
とりあえずミーティングルームに入った。


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