上司を甘やかす方法
「「かんぱい!」」
この前とは違うお店で、
全席が半個室の落ち着いた居酒屋。
「ここね、すっごい美味しいんだよ!」
と言って、おすすめを何品かと
俺の好みはどれか?と何品か更に頼んだ。
話は意外と盛り上がり、
楽しんでいる自分がいる。
「あ、斎藤くん!ごめん!」
急に話を止めて謝る大河内さん。
「何ですか、急に。」
「…彼女とか、居たりしない?」
「居ないですよ。」
「よかったー!
もし居たらさ、こんな半個室に連れ込んでる
上司とか嫌だろうなーと思って。」
と、大河内さんには一切下心が見えない。
そのことに対して面白くないと思ってる自分。
「大河内さんは、彼氏いないんですか?」
「わたしはいないよー。」
と、ヘラリと笑っていた。
一瞬部長が浮かんだけれど、
居ないということにホッとしている。
「じゃあこれからもたまに飲みましょうよ。」
自分でもこんなこと
言うとは思って無かったから驚いた。
「斎藤くんがいいなら是非。」
時間は思っていた以上にあっという間だった。
「美味しかったです。」
「ねー!わたしも初めて食べたお料理もあって
大満足だったよー。」
「送ります。」
「要らない要らない!」
時間は22時過ぎ。
「全然まだ大丈夫。ありがとう。」
「でも危ないでしょう。」
「どこが!!」と、笑ってる。
「本当に大丈夫!」
「女の子でしょ!」
「いつの話ですか!
わたしはもうすぐ30歳だよ!」
「十分女の子です。」
中々折れてくれない斎藤くんに
わたしが折れた。
「じゃあ駅までお願いします。」
「…はい。」
家までと言うところを
それだけは、と駅まで送ってもらった。