上司を甘やかす方法
ある日のふたり
「ねー、将稀くん。」
「んー?何?」
「すっごい重い。」
今日はあいにくの雨。
デートの予定だったけど、
雨だからって、将稀くんが家まで来てくれた。
しかも将稀くんの家の近くにある
大好きなケーキ屋さんのケーキを持って。
映画でも観よっか、ってソファで座る。
でもこの体勢が問題。
将稀くんはわたしの腰に手を回して、
そのまま全体重をかけて寄っかかる。
「重いのは仕方ないね、俺くっついてるし。」
と、何の悪びれもなく言う。
「もー。」
と言いながらも重い以外は嫌じゃない。
「史花さん、観たいの選んでいいよ。」
「んー、何にしよっか。」
と、配信中の映画をスクロールしていく。
「わ!これもう配信されてるじゃん!」
「ん?あーこれ、俺も見たことない。」
「わたし、北川俊哉すごい好きなの!」
と、お気に入りの俳優の名前を言うと、
「えー、俺より〜?」
と更にくっついて、重い。
「いやいや、比べる相手がおかしいよ。」
と、言うと、
「それはー?つまりー?」
と、ニコニコした将稀くん。
そして服の中に手が入って来た。
「ちょっと、ちょっと!!」
学年で言うと4つ違いの彼だけど、
普段はしっかりしているし
そんなにも歳の差を感じないけれど、
こういう時にすごく感じる。
めちゃくちゃ体力がある。
普段あんなにさらっとしているのに
全然そんなことはなかった。
むしろすごい恥ずかしいことしてくるし、
正直ついていけない時もある位。
「映画観よ?」
「えー、残念。」
と珍しく諦めてくれた。
結局わたしの言った映画になった。
内容はハラハラするけれど、
最後はすごくスカッとした。
「あー!面白かった!!」
「ねー!すごいスッキリしたね!」
2時間半座りっぱなしで、真剣に見てたから
体も目も疲れたー、
そう思って立ち上がり、窓の方を見た。