LOVE or DEATH 愛し愛されデスゲーム
 それは、本当にそれだけでいいの!? と叫びたくなるくらい、あっけない条件だった。


「行く行く、行きます! 手繋いで。ほら!!」


 とっさに九条くんの手をとり、どこから見ているのかわからないけれど声にアピールする。


「かしこまりました。楽しいデートをお楽しみください。それでは手配をさせますので、しばしお待ちくださいませ」


 それっきり声はしなくなった。本当に準備をしてくれているらしい。


「あ……っ」


 とっさのこととはいえ、突然手を握っちゃったのはまずかったかなぁと今更心配になって、おそるおそる九条くんを仰ぎ見る。


 九条くんはやっぱり相変わらずで、壁を睨み続けていた。
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