嘘恋のち真実愛
鈴川くんは洞察力に優れた人だ。ただ話しているだけでも、仲良く見えて、そこから推察したのだろう。

私と征巳さんが話をしていても、同じように親密だと感じ取ってしまうかも。でも、征巳さんが足りないというのだから、親密に見えるほどではないはずだ。

自分勝手な解釈をして、気持ちを落ち着かせる私に鈴川くんは、爆弾的発言をした。


「自慢ではないですけど、自分は洞察力が高いほうです。どんな関係かまではわからなくても、仲が良いのは確かだと思います。それと、最近芦田さんとも仲が良いように見えますね」

「えっ、私? どうして?」

「昨日突然、一緒にお昼を食べたからです。でも、芦田さんが少しぎこちない感じだったから、部長が一方的に仲良くなりたいようにも見えましたね。こちらも実際どうなんでしょうかね?」


穏やかに笑いながらも探りを入れる鈴川くんが、怖くなる。洞察力は高くても、人の気持ちまで探るような人ではないと思っていたのに……。

私はまた「さあ?」としか答えることができなかった。
< 102 / 204 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop