嘘恋のち真実愛
こんがりきつね色になり、完成。千切りキャベツとミニトマトと共に盛り付ける。


「その千切りキャベツはいつの間に?」

「征巳さんがジャガイモを潰している間です」

「肉を炒めてもいたよね? さすが手際がいいな」

「褒めていただき、ありがとうございます」


感心してもらえたことがうれしくて、ニッコリ笑った。


「かわいい」

「えっ?」

「 今の顔、すごくかわいかった」

「そ、そうですか?」


なんの前触れもなく、突然かわいいと言われて、挙動不審になった私は箸でつかんだトマトを落としてしまう。

コロコロと征巳さんの皿の方へと転がったトマトを彼が素早くキャッチ。


「あっ、ごめんなさい」

「フッ、ゆりかの顔、このトマトみたいになってる」

「えっ、言わないでください」


かなり動揺した私の顔は熱い。恥ずかしすぎる……。片手で冷まそうとあおいだ。

揚げる時に緊張で固くなっていた征巳さんの顔は、今ものすごく緩んだ顔に変わっている。顔はまだ熱いけど、和やかな夕食だなと心がほっこりした。
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