嘘恋のち真実愛
甘めの任務終了
なんて夢を見たのだろう……。

目覚めた私は、体を横向きにさせて、静かに寝息をたてる征巳さんの唇を見ながら、夢の中でのキスを思い出す。彼は私の頬を愛しそうに手で包み込み、微笑んでから、キスをした。

征巳さんの唇、柔らかそう……あの唇でキスされたら、きっとクラクラする。一度されたことのあるキスだけど、あのときは感触を味わう余裕がなかった。

触れるだけだったし……。


「ゆりか?」

「あ、おはようございます」

「早いね」

「目が覚めてしまったので」


お互い横向きになって、手を伸ばせば届く距離で話す。このベッドで朝を迎えるのも今日が最後。意外に征巳さんの隣は、よく眠れた。


「明日から、ゆりかがいないのか……」

「寂しいですか?」

「うん、寂しい」

「えっ?」


深く考えずに聞いたから、寂しくなんかないと言われると思った。予想外の返事に驚いて、目が丸くなる。


「ゆりかは寂しくないの?」

「私は……ほら、会社で顔を合わせますから、全然寂しくないです」

「会社とここは、違うよ? 寂しいのは俺だけか……」

「今までひとりで暮らしていたのですから、戻るだけですよ? すぐ元の生活に慣れると思います」
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